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クラッチ交換
購入時より4速で3,000から4,000回転くらいで加速するとガラガラと振動が発生していた。これはクラッチディスクのダンパースプリングの緩みと思われ、クラッチの交換が必要であった。ヘッドOHの次にやろうと思っていた重整備だ。いろいろ準備が整ったので着手した。(2014年3月21日)
整備の上で難所と思われることがいくつかあった。
- 外したミッションをどうやって受け止めるか(どうやって降ろすか)
- クラッチのセンター出しがうまくできるか
- ミッションの取り付けがうまくできるか
- ドライブシャフトをうまくはめることができるか
ミッションの取り外し、取り付けではミッションジャッキというものをプロは使うのであろう。しかし、このミッションジャッキは安いものでも3万円くらいはする。とても手が出せるものではない。素手で取り外し、取り付けてしまう猛者もいるが私には無理だ。アストロプロダクトではガレージジャッキに取り付けられるアタッチメントがあったらしい。ネットを探ると手製のガレージジャッキを作製している人もいる。これらのことをヒントにガレージジャッキに取り付けられるアタッチメントを自作した。アタッチメントといっても木の板を加工して取り付けたのだが、これがなかなかうまくいった。
ミッション降ろしの目途がついたので作業に取り掛かることにした。他の難所はその場になってから対処することにした。
どのメーカーのクラッチを使うか
かねてより目を付けていたクラッチがある。アイシンのクラッチである。純正のクラッチディスクのスプリングは4個であるが、アイシンのそれは6個付いている。スプリングの合計では重いかもしれないが、1個あたりの重量は軽いはずである。それ故、将来緩みが発生しにくいと考えられた。
そしてアイシンのクラッチカバー
NSKのレリーズベアリング
NTNのパイロットベアリング
これら4点がセットになっているものをネットを通じて購入した。
[購入価格12,300円 送料630円]
ミッション取り外し
クラッチを交換するためにはミッションを降ろさなければならない。そしてミッションを降ろすためにはミッションに接続されているワイヤ、ハーネス類を外さなければならない。
- 初めにバッテリのマイナスターミナルを外す。
スタータモーター等の端子類を触るためだ。 - ミッションオイルを抜く。
これを機会にオイルも交換。前回交換から約1万4,000キロ走行。 - スピードセンサのカプラ接続を外す。
- エンジンハーネスAグランドワイヤ、トランスミッションアースケーブルを外す。
- シフトワイヤ、セレクトワイヤの割りピンを外す。場所が狭く非常に外しにくい。
- シフトワイヤとステイを一体で取り外す。
この時、空間確保のために、オイルフィラーパイプ、エアクリーナーボックスも取り外す。 - バックアップライトスイッチコネクタの接続を外す。
- スタータモーターケーブルの接続を外し、スターターモーターを取り外す。
- エンジンをジャッキで支える。
- リアエンジンマウント取り付けボルトを取り外す。
- リアビームを取り外す。
※整備書では取り外しの指示はないが、外した方が整備しやすくなる。 - ナックルから各アームを外す。
- 左右のドライブシャフトをミッションより抜き取る。
- ミッション取り付けボルトを上側4本を取り外す。
- ミッションブラケットを取り外す。
- ミッションの下側をジャッキで支える。
- ミッション取り付けボルト下側2本を取り外す。
これでミッションを引き出すことでエンジンから外れるはずであるが、ミッションを手で引いただけでは外れない。それで傷が付かないようにエンジンとの隙間にドライバを当て、ハンマーで打ちつけてみた。しかしそれでも隙間が広がらない。ミッションが水平に引き出せないためであるようだ。 アタッチメントだけでは上下の位置しか調整できないので、パンタジャッキを組み合わせ、パンタジャッキで水平方向の位置を調整した。
この状態でドライバを打ち込んでいくと、ようやく隙間が広がってきた。
ミッションをエンジン側から見る。クラッチのダストで汚れているが、オイルの漏れなどは見られない。
レリーズベアリング。これがクラッチディスクを押しつけて動力の伝達を遮断する。
ミッションには位置決めをするノックピンが2本取り付けられている。これは上側。
カバー取り付けボルトを緩めるときはこのようにミッション取り付けボルトと13ミリのソケットを利用。そしてボルトは2回点ずつ対角に緩めていく。
取り外した部品
取り外したクラッチディスク(フリクションディスク)。ダンパースプリングは削られて、緩みがあった。
部品取り付け
パイロットベアリングをフライホイールへ取り付ける。打ち込みにホイールナット用のソケットを利用。
この後、オイルシール、レリーズベアリングも交換し、フライホイール、クラッチディスク、カバーを逆手順で組み付けていく。
クラッチのセンター出しにはエクステンションにゴムのリングを取り付けて利用。ゴムリングはタイミングベルトカバーの遮熱板に使われていた物をクラッチディスクの内径に合わせて加工した。
ミッション組み付け
そしていよいよ、ミッションの組み付けだが、なかなか嵌合しない。メインシャフトがクラッチのスプライン穴にはまらないようだ。クラッチディスクのセンターはしっかり出ているので、水平位置が合っていないのだろう。ひとつのノックピンにかかったのでボルトをはめ、一部を固定してはめようとしたが駄目。午前9時から作業を始めたが、お昼で中断。かなり体力を消耗した。1時間半の休憩後、再開。原点に戻ってジャッキを調整し、ミッションを水平にして揺らしてみる。するとうまく、2つのノックピンの位置が偶然に合う。すかさずボルトをはめて締め込むと何とかミッションが嵌合した。
この後、ドライブシャフト、リアビーム、サスアームなど、各部品を逆手順で組み付けていく。右ドライブシャフトの組み付けでは、ナックルがアームについたままではシャフトがミッションに対しての角度が付き過ぎなのでナックルを取り外し、シャフトが完全にフリーな状態でミッションに組み付けた。左は角度が緩いため、ナックルに付けたままではめることができた。
クラッチ交換の変化及び費用
加速時に発生していたガラガラ音は完全に消失。音はやはりダンパスプリングからっだったのだろう。購入時から気になっていた音が消えて、加速が気分良い。加えて、ニュートラ時に聞こえていたミッション辺りからの音も小さくなった気がする。ニュートラ時に発生する音はメインシャフトのベアリングの傷みが主な原因のようであるが、レリーズベアリングからも多少発生していたのだろう。ベアリングを交換したので、レリーズベアリングからの音は消失したものと思われる。
かかった費用は、上記クラッチ部品の他に、オイルシール1,008円、モリブデングリス480円、ジャッキに取り付けた金具498円、合計14,916円であった。