プロローグ
現在の愛車は平成8年式のホンダドマーニSi-G。ファミリーセダンではあるけれど、1.8リットルDOHCのエンジンはパワフルで小型ボディと相まってきびきびと走る。新車時からずっと乗り続けている。これからもずっと乗り続けていこう!と思っていたのだが、なにか物足りない。運転する喜びがない。移動手段の車だからそれもしょうがないのだろうが、以前乗っていた60年代の旧車の運転する“ときめき”がないのだ。
ビートに遭遇
そんな時、何気なくヤフオクのビートのページに入り込んだ。意外と安い価格で出品されている。その時「そうだ!ビートにしよう!」と瞬間的に思ったのだ。
ヤフオクに出品されているビートを見ているうちにだんだん自分が望んでいる価格、色などが決まってきた。価格は30万円以内、色はイメージカラーのカーニバルイエロー。これらを中心にヤフオク以外の中古車販売サイトを探していると意外と売りに出されていて、数件の候補が決まってきた。週末には見に行くことにしよう。
では今乗っているドマーニはどうするか?車検を取って半年しか経っていないのでできたら、ある程度の金額で下取りしてもらえるのがいいのだが、年数が13年を超え、走行が今にも14万キロになろうとする車に値段がつくのか?車検時にブレーキパッドやベルト、エンジンマウントなど交換しているし、重量税、自賠責保険、自動車税など払っている。一番いいのは購入する店で下取りしてもらえることだが、その時の妥当な金額はどれくらいか?もし下取りできなかったとしたらどうするか?そんなことを考えながらネットを眺めていると無料査定のWEB申し込みが目に入った。よし価格がどの程度つくのか申し込んでみることにした。
買い取りではどのくらい?
私が利用したのはCarviewの無料一括ページ。メーカー、車種、年式、装備など簡単な必要事項を入力。翌日には早速数社からメールが届き、電話をくれたところもある。その内の1社が関心を高く示してくれ、家からも近いのですぐに車を査定してもらいに行った。結果はやはり、高年式、高走行車だから値段が付けられないところだが綺麗に乗られているので3万円にはなるとのこと。ただ3万円なら自動車税、自賠責などの未経過分にもならない。そのことを伝えると、自分で廃車しても解体費用などで結局同じ値段くらいしか残らないことを教えられた。それなら面倒な手続きなしで買い取ができる方が良いのではないかと勧められたがこの日は、実際に購入できる店で下取りをしてもらえることもあると考え引き揚げた。それでも実際にいくらぐらいにはなるのかは判ったので一つの成果だった。しかし車検時に税金などの諸費用を含め約13万円もかけたのが無意味になってしまうのは参った。もっと車検時にどうするかを考えておくべきだったが後の祭り。今の気持ちは車検が切れる1年半は待てないので無駄になってもビートが欲しい気持ちが強くなってしまった。
下見に出発!
さて週末になりネットで探っておいた展示車両を見に行くことにした。候補としている店は2店。いずれも埼玉県内。1店目にある車両はなんと20万円を切る格安車。平成3年、当然車検なし、走行119,000キロ。外装は塗装がつやがなくなっていた。ドアの付け根の見えにくいところがわずかに赤い塗装が見えたので元色は赤、もしくはパーツを寄せ集めて直したものと思われた。しかし幌はスクリーンはぼやけていたがその他は破れもなくしっかりしていた。
とても買う気にはならなかったが物は試しで見積もりを出してもらった。車体価格はほぼ仕入れ値なので、車検及び名義変更の手続きはお店を通さないと受け入れられないと言うことだった。元値が確かに安いから車検・登録手続きは店でやらないと利益が出ないのだろうということは容易に想像ができた。私の希望の自分で名義変更をして車検を取る計画からは外れるが見積もりは無料だし・・・
結果、およそ35万円!なんでこんなにかかるの?登録手続きも高かったが、書類を書くのに行政書士を通すのでその費用として21,000円だとさ!あきれる。そもそも買う気は全くなかったのでそこは突っ込まず自分の考えと違うと言うことを伝え、早々に引き揚げた。
そして2店目。こちらが本命。ビート専門店とも呼べるくらいにたくさんのビートが置いてあった。上は100万円台から下は20万円まで。私の目当ては2台、いずれも28万円。ひとつは平成3年の車検なし、走行115,000キロ、藤壺デュアルマフラー、ウェッツアルミ付き。排気音はマフラーをかえてあるだけ迫力のある音がしていた。ボディーはかなり綺麗、幌も張り替えてあるとのことでやはり綺麗。しかし残念なことに右リアタイヤハウスにへこみが!これは塗装が綺麗なだけに惜しまれるところ。修理をするのであれば通常5万円くらいするところを3万円でやってもらえるとのこと。
このお店でもやはり車検・名変を自分でやりたいのだがそれは可能かを聞いてみたところ、儲けが出ないのでお店を通すのが前提であるとのことであった。ただし車検整備の内容は応じてくれるとのことであった。
たくさんのビートを扱っているからか、とても詳しく親切にビートの弱点を説明していただけた。悪いところも指摘してお客さんに納得して購入してもらおうという考えのようだ。とても好感がもてた。
そして次のビートは平成5年式、走行93,000キロ、フォーミュラーアルミ、幌はかなり痛みがあり、でも平成22年6月までの車検付き。こちらもボディーはまずまず綺麗、トランクやボンネットの裏、ウォッシャータンクなどもきれい。ビートの中古というと平成3年式を多く見るのだけれど、この5年式は2年違うだけで新しい感じがする。経過年数にしてみれば、17年と19年の違いだからそれほどでもないと思っていたが、目の前にすると2年の差というのはやはりあるようだ。シートの破れはご多分にもれずあり。しかし、幌とシートの痛みはあるけれど、ボディーはなかなかいいんじゃないか!?良く見てるうちにだんだんいい状態の個体である気がしてきた。車検も半年あるし、その分金額も抑えられそうだし、幌は走る時はオープンにしてしまえば関係ないし、なかなか良く思えてきた。
そこでこの車両で見積もりを作ってもらった。リサイクル預託金、納車前整備含め総額366,300円なり。30万円以内に抑えようと思っていた予算からかなりオーバーであるが、名義変更・車検の手間なしで乗れるというのはやはり魅力で5,000円の手付金を払い、このビートに契約ということに決心、決定した。
家を出る時、今日決まってしまうかなという気持ちもなきにしもあらずだったが、28万円のビートがどの程度の物なのか見るだけのつもりが、やはり実物を見てしまうと決めてしまいたくなるものだ。いつまでもあるとは限らない、明日購入者が決まってしまうかもしれないですからね!
というわけで「そうだ!ビートにしよう!」と思い立ってからわずか1週間で私の元に来るビートが決まった。この1週間の高揚感は、子供のころに欲しいプラモデルを見つけた時の喜びに似ている。すっかり忘れていたあの感覚だ。そう、ビートはまさに大人のおもちゃだ。すぐに手にしたいところであるが、その前にやらなければならないことがある。駐車場を確保するために早いところドマーニの行く末を決めなければ・・・つづく(2009年12月20日)